自動販売木

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人類に激震が走った。
植物が飲料水販売へ参入したのだ。
街に生える大木が軒並み自動販売木へと変態した。
硬貨を入れると蛇口から木々が汲み取った清らかな水が汲める仕組みだ。
木の香りが爽やかでほのかな甘味のある黄金色の水は瞬く間に人気となった。
特に寺社仏閣にある御神木の水はその立地も相まって、ご利益があると特に重宝され長蛇の列ができた。
痛手の飲料メーカーは自販木を地主から買取り工場を建て商品化し自社自販機で『金木水』として売り出した。
消費者から『転売に等しい』と批判が殺到し値下げするが、実は香料で味を似せた清涼飲料水である事が発覚する。
社長は会見で工場設立後に自販木が普通の木に戻った事、後戻り出来なかった事を謝罪した。
企業は業務提携を試みるが意思疎通が不可能と諦めた。

支払った硬貨が循環せず経済活動への懸念を政府が発表した頃。
人類は頭頂部が芽吹いている事に気付くがもう既に…
ホラー
公開:21/12/17 11:52

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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