役者魂

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次の舞台の稽古の最中、座長が私に厳しい言葉を投げかける。

「違う!!そうじゃねぇよ!!もっとこう……感情を込めて台詞を言わなくちゃ!!役者魂見せてみろよ!!」

役者魂を見せてみろ……。
そう言われても、私は一生懸命やっているつもりだ。
あーあー、どこかに落ちてないかな。役者魂。

夜遅くまで続いた稽古が終わり、私は家へと帰っていた。すると奇妙なものを見つけた。

「あれ?あんなところにお墓あったかな?」

ひとつだけポツンとあるそのお墓。名前を見ると、鳳凰院京太郎と書いてあった。

「凄い名前」
「そりゃ俺の芸名だからな」
「だ、誰!?」
「どうも。鳳凰院京太郎です。お姉さん、見たところ役者だね。しかも役者魂がなくて怒られたってところか」
「分かるの?」
「そりゃ俺は役者魂を持った魂だからね。乗り移ってやろうか?俺と一緒に最高の演劇やろうぜ」

こうして私は、役者魂を手に入れたのだ。
公開:21/12/17 10:57

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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