タイム・スリップ・マシーン2

2
2

博士が助手のマユミ君に、自信作という新しい機械を見せた。研究所に併設されている工作室には、銀色の卵型の乗り物が置いてある。
「マユミ君。ついに長年の夢だったタイヌ・スリップ・マシーンが完成した」
「またですか。しかも、それを言うならタイム・スリップでしょう。ムとヌを間違えています」
「気にするほどではない。犬をイヌと呼ぶか、イムと呼ぶかの違いだ。それはそうと、記念すべき初飛行にマユミ君にも同乗してもらおうと思っているのだが」
「つつしんでお断りいたします。教授おひとりでどうぞ」
「そんなこと言わずに……」
マユミ君のあまりの拒否に、教授が残念そうにひとりで運転席に乗り込んだ。
そして、ボタンを押すと、なぜか一瞬でタイム・マシーンが巨大なスリッパに変身した。顔を赤らめた教授が、マユミ君に言う。
「しまった。タイム・スリップのつもりが、タイム・スリッパ・マシーンを作ってしまったわい!」
SF
公開:21/12/15 20:25

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容