サンドグラス

レジンにポートレートと一緒に埋め込まれたサンドグラス。
母が生前には私達の写真を入れていたものだ。
今は私が母の写真を入れている。
墓前で静かに逆さまにすると、サラサラと砂は落ち始めた。
私は目を閉じる。
いつも、色々な記憶が蘇る……。

夜の仕事から帰ってきて、寝ている私に頬を寄せる母。
頬は冷たくて寝たフリをしていた。
思えば、母は泣いていたのかもしれない。
女一人、子供を二人育てることが、どれだけ大変だったろう。

三分は経った、サンドグラスの砂は落ち切った。
親不孝者の私の頬にも、
涙が落ちていた。