じこぶっけん

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「おい、体調悪そうだな。」
「…まあ、良くないっちゃ良くないね。」
 友人Yの顔があまりに青白かったので、思わず聞いてみた。人には言っていないが、俺は誰よりも霊感が強い。そして、Yからとてつもない悪霊の気配が発せられていた。
「思い当たることは?例えば、急激な環境の変化があったとか。」
「そういや、先月引っ越したんだけど、どうも新居が落ちつかなくて。」
「それだ!きっと『事故物件』だったんだよ!大家は何か言ってなかった?」
「じこぶっけん?何も聞いてないけど…でも、言われてみると…そうかも!」
 Yは納得したように手をポンと叩いた。
「心当たりがあるのか!すぐ君の部屋に行こう!」

 Yの部屋はどこにでもある1Kの物件だったが、エアコンが故障しているらしく、とにかく寒かった。
「引っ越してから、寒さで持病の痔が悪化したんだ。君の言うとおり、この部屋は『痔固物件』だったんだ!」
「…。」
SF
公開:21/12/15 00:19

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