伝説の剣豪

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博物館に飾られていたのは、大紫幸三郎という大剣豪の「手」だった。
私はその手を見て首をかしげた。

「えっ?なんで手?普通、刀とか飾ってない?」
「ああ、これはですね。大紫幸三郎の武器なんですよ」

隣で見ていたおじさんが教えてくれた。

「手が武器なんですか?大紫幸三郎は、格闘家だったんですか?私、てっきり剣豪だと思ってました」
「いいえ。剣豪ですよ。大紫幸三郎は、唯一無二の手刀の使い手だったんです」
「手刀!?嘘ぉ!?」
「相手の振り降ろす剣をひらりとかわしてかいくぐり、首に一撃、手刀を当てて気絶させるんです。一滴の血も流さずに敵を倒した伝説の剣豪です」
「そうだったんですか!?歴史の教科書には、そんな事書いてなかった」
「そりゃそうですよ。そんな事書いていたら、馬鹿なクラスの男子は、どうすると思います?」
「休み時間に手刀で戦います」
「そう。書いてないのは、文化省の配慮ですよ」
公開:21/12/13 10:59

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

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・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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