夢のような願い

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「ミルク、おやすみ。」
真っ白な子猫は一言「にゃあん」と鳴いた。
「ふふっ、可愛いお返事。何て言ってるのか分かればなぁ。」
呟きつつ見つめた窓の先に、つるんとまぁるい月があった。
「きれい。神様はああいうとこにいるのかなぁ。神様お願いします。動物やお花の声が聞こえますように。なんて。」
「ルリ、おはよ。まだ寝るの?」
布団の中で伸びをする少女に可愛い声が降ってくる。
「おはよう、ミルク。もう起きる…よ…」
時が止まる。ルリと呼ばれた少女の。
「ミルク!?」
名前を呼ばれた白猫は首を傾げるばかりだ。
「どうしたの、ルリ?」
願いが通じたと喜ぶ少女は窓辺に駆け寄り、パンジーに声をかける。
「ルリ、おはよう。」
落ち着いた声だ。
舞い上がった少女は、しかし1時間後にはこう叫んだ。
「もう声が聞こえなくていいよー!」
庭に出た少女を待っていたのは、数え切れない草花のお喋りと踏まれた草の悲鳴だった。
その他
公開:21/12/14 00:44

ハル・レグローブ( 福岡市 )

趣味で昔から物書きをのんびりやってます。
過去に書いたもの、新しく紡ぐ言葉、沢山の言の葉を残していければと思います。
音泉で配信されているインターネットラジオ「月の音色 」の大ファンです。

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