光の降りる場所

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「まだ見つからないのか…」
「72時間までもう時間がない。」
「あと1人なのに。」
後に大震災と呼ばれるほどの地震の後、警察、消防、そして自衛隊による必死の捜索が続いていた。
その甲斐があってか、行方の分からなかった人たちのほとんどが見つかっていた。
本部にまとめられた名簿から名前が消えていくたびに、泣き崩れる者、安堵の息を漏らす者など多くの感情を目の当たりにした。
無事を願う人々の姿が一つ、また一つと消えていく中、72時間の壁を目前にして一組の夫婦がまだ無事を祈っていた。
何とか見つかってほしい。
命だけは。
おもむろに、1人の指揮官が夫婦を災害現場に連れ出した。
「私は信じます。人の可能性を。親子の絆を。きっとお二人には聞こえるはずです。お二人にしか聞こえないものが。さあ、耳を澄ませて。ゆっくりと。」
「…こっち。」
静寂の中、女性がスッと指を差す。
その先に、天使の梯子が降りていた。
公開:21/12/14 00:39

ハル・レグローブ( 福岡市 )

趣味で昔から物書きをのんびりやってます。
過去に書いたもの、新しく紡ぐ言葉、沢山の言の葉を残していければと思います。
音泉で配信されているインターネットラジオ「月の音色 」の大ファンです。

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