叶えたいのすれ違い

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「チコ。そろそろ決まった?」
ベランダの手スリに座って夜空を見上げる彼女。
「何してるのさ。こんな寒い夜に」
そんな彼女の前にフワリとピロは回り込んだ。
「今夜は流星群が見える夜なのよ」
パタパタと小さな翼を動かし彼も空を見上げた。
「確か今日は双子座祭りさ。ねぇ早く願い事を言ってよ」
「別に無いから帰っていいよ」上を向いたまま彼女は言った。
「何回も言ってるけど僕は掟を破って人間に恋をしてしまったんだ。
恋に堕ちた天使の呪いを解く為にチーコの願いを叶える必要があるの」
「恋する事が呪いなんて…変なの」
ピロはくるりと背を向ける。
「絶対に叶わない恋は呪いと同じなんだ。苦しいだけで…」
「分かった。願い事決めた」「何!?」ピロは笑顔で振り返った。
「流れ星をゆっくりにして」「別にいいけど…何で?」
「もちろんゆっくりだと確実に3回お願い事言えるじゃない」
「…その願い事を僕に言ってよ」
ファンタジー
公開:21/12/14 05:00

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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