きこえる

夕飯は何にしようかと料理本をパラパラとめくる。う～ん…どれも今日の気分には合わない。
ふとカレンダーを確認すると今日は１１月２９日。いい肉の日だ。
なら、今日はあれでも作ろうか。
私は早速リサイクルに出すつもりだった息子の漫画雑誌を串刺しにして火で炙る。
丁度良く焦げ目がついていたところでペーパーナイフで漫画雑誌の皮を剥ぐ。そして両端にちょっと骨が出るようにすれば、”マンガ肉”の完成だ。
出来立てなので湯気と共に『じゅわ～』と擬音も浮き上がる。
目で見る擬音。耳には聞こえないものの、脳内ではしっかりとその音が再生されている。
目で見る音がしっかりと聞こえているわ。
食卓に出すと息子も夫も大喜び。早速かぶりついては「美味い美味い」と連呼する。
赤いページ紙を多く使っていた雑誌はステーキのような味わい。赤身肉に似た味に私も大満足。
モノクロページ紙の漫画単行本じゃこの味は出せないわね。