心臓カタログ

私は小心者だ。小さなことですぐにビクビクとなってしまう。そんな自分が嫌で、自分の心の弱さをどうにかして治したいと考えていた。ある日の事だった。郵便受けに入っていたのは、心臓カタログというものだった。

小心者のあなたにさようなら。強いハートを持った心臓、色々取り揃えております。この中から自由に選んでください。

そんな不思議なフレーズが並ぶ心臓カタログで、私は心臓を買った。翌日、指定された場所に行き、心臓手術を受けた。

そして――
私は強い心を手に入れたのだ。

私が手に入れたのは、正義感溢れる警察官の心臓。犯罪を憎み、悪に決して屈する事がなく、弱きを助ける正義の心。もう私は無敵だ。

銀行でお金を引き出していた時、銀行強盗がやってきた。私は全く恐怖心がなかった。それどころか気が付けば強盗に女子供と老人だけでも解放しろと叫んでいた。そして私は、逆上した強盗に撃たれてしまった。