カプセル

約束の時間より早く到着した。
近くには喫茶店と自販機。
「待ってもせいぜい２０分だしな」と自販機を選んだ。
小銭を入れ数ある商品の中から『２０』を選びボタンを押す。
野球ボール大のカプセルを取り出した。
早速カプセルを開ける。
しかし固くて開かない。
息を手に吹きかけ再度試みる。
ダメだ。
一度息を整え、大きく息を吸い込み…そして止めると同時に渾身の力を込めてカプセルをひねった！

開かない。

右回り、左回り、握り方など色々試行錯誤するも一向に開かない。
輪ゴムが鞄の奥に有りやしないかと探すも都合よく在るわけもない。
叩き割ろうか、と思ったが勝負を放棄した様で何となく癪に障る。
手のひらは熱く、手首に痛みも出てきた。
次がラストチャンスになると覚悟を決めた時だった。
「お待たせ。待った？」友人がやって来た。
「お、２０分経ったか。コレしてた」
役目を終えた暇潰しカプセルは難なく開いた。