裏切りの薔薇

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花屋の店先に置いてあったその薔薇は、花弁の色が一枚一枚違う色をした不思議な薔薇だった。

「あのう……」
「いらっしゃいませ」
「この薔薇は?」
「レインボーローズですね。不思議でしょう」
「ええ。全部の花弁の色が違うだなんて初めて見ました。これはブリザードフラワーか何かですか?」
「これはですね。実は聖花と呼ばれている花なんです」
「聖花?」
「聖なる力を持つ花で、聖花と呼びます」
「ならこの薔薇には、何か不思議な力があるんですか?」
「この薔薇は、裏切りの薔薇と呼ばれています。この薔薇を渡した相手があなたを裏切るなら、裏切りの薔薇は、その場で花弁が全て散ってしまいます」

私は裏切りの薔薇を買った。送る相手は決まっている。旦那だ。無口で不愛想な旦那には、とても似合わないだろう。でも裏切るかどうか試してみるのは良いかもしれない。旦那に薔薇を渡すと、花弁は散るどころかもっと輝きだした。
公開:21/12/11 09:49

富本アキユ( 日本 )

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Twitterは@book_Akiyu

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・作詞を担当
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ブラウン・シュガー
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