結婚式

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目が覚めると、俺は袴を着ていた。
周りはやけに賑やかで。

(ああ、そうだ。今日は俺の結婚式だ)

そんなことを、ぼんやりと考えていた。父と母は嬉しそうだ。
ふと視線を隣に向けて、白無垢を着た相手に語り掛けた。

「幸せにするからな」

すると、相手が照れくさそうに答えた。

「不束者ですが、よろしくお願いします」

そうしてこちらを向いて。
俺は、声を上げた。

布団だ。

布団が白無垢を着て、俺の隣に座って、喋っている。
よく見ると、父と母以外の来客は、みんな布団だ。

「な、なんだこれ!?何がどうなってる!?」
「あらいやだ。あんなに熱烈なプロポーズをしてくれたのに、忘れてしまったの?」
「は!?」
「『俺は布団と結婚する』って」



「朝よ〜起きなさい!!」

母の声で目を覚ます。寒さに身体を震わせながら、下へ降りた。

「あら早い。珍しい」
「…布団とは流石に結婚したくないし」
その他
公開:21/12/05 12:37

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