まくら

どうも首が痛い。
枕が合わないからだ。

「２つ１組で夢交換枕」
夢を交換したい人に片方の枕を使ってもらうと、その人と夢が交換できるようだ。
僕は、同僚の山岡に枕をプレゼントした。
山岡は、羨ましいほど運がいい奴だった。
先日も難攻不落の会社から注文をとったのだ。

夢とは現実の体験や考えたことを寝ている間に整理する過程で見るものらしい。
夢交換できるということは、山岡の体験を僕の体験にできるということだよな。
ということは、山岡の運が僕の運になる。
よし、運の悪い自分から抜け出せる。

朝起きた僕は疲れきっていた。
夢の中で僕は、いつもの僕の何倍も仕事のことを考え行動していた。
山岡は見えないところで、僕の何倍も努力していたのだ。
運は、努力で掴んだものだったのだ。
僕は、羨んだ自分を恥じた。

まったく、この枕は僕には合わない。
枕が変わると寝にくいものだ。