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最近話題の調味紙が便利だ。見てくれは10センチ四方の和紙なのだが、そこに調味料の名前を書き和紙を軽く折り曲げて傾けると、中から先ほど書いた調味料が実際出てくるという寸法だ。しかもグラム数にも対応しており、例えば(塩10グラム)と書くと分量通りの塩が和紙の間から流れ出てくる。便利な世の中である。
ある日僕はうどんを食べたくなった。冷凍麺だけあり出汁はないので、鍋に水を入れ、ネットで見た分量通りの調味料を調味紙に書き出汁を作る。うどんを湯がき入れると期待通りの味ができた。
後は七味を入れるだけ。調味紙に(七味)とまで書きかけたところで丁度携帯が鳴る。
「もしもし▪▪▪はい、ご注文のお米ですね。いかほど▪▪▪50キロ、はい▪▪▪」
私はメモをとりたく手近な紙に(50キロ)と記した。
そしてなんやかんや事務処理を終え、やっとうどんにありつこうと、私は調味紙を傾けた。
目の前が突然七色になった。
その他
公開:21/12/07 08:15

セイロンティー( Cherry Blossoms island の傍 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※ツイッター先にて小説家になろうへのリンクあります。そちらで長編ミステリーコメディーを書いています。よろしければ、こちらもよろしくお願いします。

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