そしてジャガイモの皮を剥く

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バイト終わりにスーパーに立ち寄る。
青果、鮮魚、精肉コーナーを抜け惣菜コーナーへ辿り着くと
まだ閉店まで2時間もあるのに商品はほぼ無くなりかけていた。
見切りシールを貼られても尚売れ残るソレらは「私に手に取って貰うために努力してそれ?」
と言いたくなるような代物ばかりだ。
丁度店員が作業員扉から出てきた。店員と目が合う。
『20時以降も惣菜の商品を充実させて下さい』
とお客様の声用紙に書き箱に入れる。面と向かって言えなかった。

コンビニ弁当を平らげ、メールの受信ボックスを開くと
先日受けた面接の不採用通知が先頭にいる。
慣れたのか麻痺したのか感情が伴わない。
「私はジャガイモだ」
青果コーナーに目もくれず企業は惣菜コーナーへ進む。
企業もきっと楽できる惣菜が欲しい。
資格を取って下茹で済みです。とか
既に肉じゃがとして即戦力ですと経験者が欲しいのだ。
ジャガイモは立ち上がり顔を洗った。
その他
公開:21/12/04 05:00
更新:21/12/03 20:20

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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