聞こえる
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とある土木現場に一本のシャベルがありました。
そのシャベルはその名の通りお喋りが大好き。
誰かが話を始めればその話を根掘り葉掘り隈なく掘り起こしました。
そのせいで周りは大迷惑。
折角、忘れようとしている心の傷口を掘り起こすのですから。
「シャベルさん、僕らには忘れたい事、嫌な事が沢山あるんだ。だから、掘り起こさないで欲しい」
狸はシャベルに頼みました。するとシャベルはこう反論します。
「それなら、モグラさんは良いのかい。彼も僕と同じ事をしているじゃないか」
「良いんだよ、彼は」
狸は話を続けます。
「彼の作ったトンネルは雨や雪が降る度にみんなの嫌な記憶を全て水に流してくれているんだ。それに比べ、君は掘り起こすだけで何の役にも立っていない。これは提案なのだが、リスさんと協力して種蒔きをして見たらどうだい」
「確かにその通りだ。悪かった」
その日以降、シャベルは角が取れ、丸くなったそうな。
そのシャベルはその名の通りお喋りが大好き。
誰かが話を始めればその話を根掘り葉掘り隈なく掘り起こしました。
そのせいで周りは大迷惑。
折角、忘れようとしている心の傷口を掘り起こすのですから。
「シャベルさん、僕らには忘れたい事、嫌な事が沢山あるんだ。だから、掘り起こさないで欲しい」
狸はシャベルに頼みました。するとシャベルはこう反論します。
「それなら、モグラさんは良いのかい。彼も僕と同じ事をしているじゃないか」
「良いんだよ、彼は」
狸は話を続けます。
「彼の作ったトンネルは雨や雪が降る度にみんなの嫌な記憶を全て水に流してくれているんだ。それに比べ、君は掘り起こすだけで何の役にも立っていない。これは提案なのだが、リスさんと協力して種蒔きをして見たらどうだい」
「確かにその通りだ。悪かった」
その日以降、シャベルは角が取れ、丸くなったそうな。
公開:21/11/30 16:31
更新:21/11/30 16:33
更新:21/11/30 16:33
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