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ある日、私が勤める会社のカスタマーセンターに電話が掛かって来た。
「お宅で買ったスピーカー、全然聞こえないんですけど」
私は出来るだけお客様を怒らせない様に懇切丁寧に説明した。
「電源はオンになっていますか」
「はい、怨になっています」
「イヤホンジャックは入っていますか」
「はい、ジャックになっています」
「何か聞こえてきましたか」
「はい、かすかに聞こえてきました」
「それではボリュームを上げてみて下さい」
「はい、ガシャッ、ガシャッと兵士の鎧のような音が聞こえます」
それを最後にそのお客様の声は聞こえなくなった。

私はそのお客様の事が妙に気にはなった。
だが、私はきっと電波が途切れたのだろうと考え、すべてを忘れる事にした。

数ヶ月後
私が寝ていると遠くから妙な音が聞こえてきた。
こちらに向かってガシャッ、ガシャッと誰かが歩く音が。

その夜、私の家から悲鳴が聞こえた。
公開:21/11/30 15:32

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