かんそうざい

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夏休みの宿題で読書感想文が出された。
僕は読書感想文が心底苦手だったが、やらないわけにもいかず、近くの図書館で本を借りることにした。
内容は地元の民話のようなものであった。
開くと一枚の栞が挟んであった。
薄い和紙にさくらの花びらが一枚ついている。
手に取ると、ぼんやりと手が温かくなり、読書感想文がすらすらと書けるようになっていた。これまでにこの本を読んだ人の感想が染み込んでいたのだ。

あっという間に書き終え、家のリビングに置いておいた。栞を外に出したままで。
しばらくすると家族の言葉数が少なくなっていった。
栞を出しっぱなしにしていたのに気づいたのは1週間後であった。
栞に触れると、数え切れないの色や音、言葉、動物、人の顔、それらがぐちゃぐちゃに入り混じったものが自分の周りをぐるぐると回り出している。

次第に自分の体へと染み込んでいった。

今ものその栞は図書館にあるのだろうか。
ファンタジー
公開:21/12/01 23:02

aki( 関東 )

ショートショートを作り始めて日が浅いですが、
同じ仲間の場所で作り合えるのが嬉しいです。

日常の出来事とファンタジー要素をうまくかけ合わせて作るのが多いですね。

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