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鍋を前にすると人はその本性が出る、と父は言っていた。成程。それは本当のようだ。
お肉ばっかり食べるとか、お箸のマナーがなっていないとか、そういう事ではない。そんなのはいくらでも取り繕える。
鍋とは危険なものでもある。それは一瞬の出来事だった。
油に引火し、鍋から火柱が上がる。
それを見て、私を含め皆パニックに陥った。
頼りがいのある先輩が叫ぶ。
「そうだ!マヨネーズを放り込むといいらしい!マヨネーズはどこだ!マヨネーズを寄こせ!」
クールな同輩が慌ててバケツに水を汲んでいる。
しかし、その手は震えて何度も水をこぼす。
そんな中、いつもは頼りない後輩がコンロの火を止め、濡れタオルをサッと鍋にかけた。
「鍋の引火は、初期消火なら濡れタオルをかけるのが一番ですよ。あと、絶対に水をかけてはいけません。余計に火の手が強くなります。マヨネーズはデマですよ」
後輩の意外な一面に私達はあっけにとられた。
公開:21/12/01 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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