チルドレンバー

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「ドーピングはスポーツ界だけじゃないようです」司会者は前フリをする。
手を止め、ひと齧りするとBGM替わりのTVに目をやる。
「…つまり栄養補助食品『チルドレンバー』は創作活動するアーティストにとってドーピングに当たるのではないかと」司会者が驚くと評論家が続く。
「はい。創作活動には子供の感性、童心が不可欠なんです。成人が維持する為には『ワンパク質』の摂取が必要で
多く含むのが瓶ラムネ、赤いスルメ、麩菓子などいわゆる駄菓子に多いんです」
「最近食べてないねぇ」と司会者。
「効率よくワンパク質を取得できる食品として今回問題に挙がっている…」

最後の一口を放り込み、立て続けに次の袋に手を伸ばした。
吸殻で溢れる灰皿の如くソレの包み紙はゴミ箱を埋め尽くす。
最近はコレ無しじゃ何も思いつけないようになっていた。
「せめてこの冒険小説を書き上げるまでは…」
ひと齧りし彼はタイピングを再開させた。
SF
公開:21/11/28 15:46

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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