鳥に乗って

渡り鳥が南の島に飛び立つ準備をしています。
この火山島は間もなく海の中に沈み、島の植物も一緒に消えます。

鳥がお腹一杯に果実を食べてる時、「鳥さん、私達は間もなく海に沈みます。この果実を種ごと食べて、南の島に運んでくれませんか？」と頼みました。

次に花達の声も、風に乗り聞こえて来ました。
「私の種子を貴方の羽毛の中に入れて、一緒に運んで下さい。」と頼みました。

急いで鳥達は果実を丸呑みにし、羽の中に多くの種子を埋め込み、丸々した体で浮き上がると、南の空へ飛び立ちました。
間もなく島は沈み、消え去る姿を鳥達は遥か上空より悲しい気持ちで見守りました。預かり物を大事に抱え、必死に南の島を目指し飛び続けたのです。

やっと島に着き、ホットして皆で水浴びをしました。
その時預かり物は漂流しながら、島のあちこちに辿り着きました。
今では島の各地で、様々な珍しい果実や一杯の花が咲き乱れています。