甘栗

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甘栗ー、甘栗ー。あまーいあまーい甘栗だよ。
夜中、屋台ラーメンの音が消えたと思えば、こんな文句が聞こえた。
お腹が空くのは、何かを食べなきゃいけないという、体からのメッセージだ。
僕はそう思い、パジャマに上着を羽織って外に出た。
街灯の下に出てみると、ぼんやりとしたオレンジの中に、浮き上がるようにして甘栗の屋台が出ているのが見えた。
温かい匂いがする。
街灯に引き寄せられる蛾のように、僕は屋台に近づいた。
「お、兄ちゃん。勉強かい?おつかれさま」
ふと自分の右手を見ると、ぺったりと黒鉛が付いていた。
「勉強の合間には、この甘栗がぴったりだよ。中学生かい?うちの子と同じくらいだ。おまけしてあげるよ」
僕は高校生だけど、ありがたく頂いた。
部屋に戻り、茶色い紙袋を開けると、優しい甘みが鼻をついた。
「やあやあ」
!?
「勉強?君はすごく頑張っているね。休憩でもしたら?」
なるほど、これは甘い。
ファンタジー
公開:21/11/27 21:18
更新:21/11/27 21:28

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

コメント読んだりお返事したりするのはとても好きなので、気楽にコメントいただけると嬉しいです。

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