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「ねえ、母さん」
「なあに?」
「あのおじさんは何をやっているの?」
「あれは駅前で選挙演説をやっているのよ」
「へえ~、そうなんだ。政治家ってお金が儲かるんだね。僕も将来は政治家になるよ」
「何でそう思うの?」
「だって、あのおじさん、皆からお金を貰っているんでしょ。さっきから「五千円ありがとうございます」って」
「あれは応援ありがとうって言っているのよ。私が皆の声を聞きますよって」
「なんだ、そうなんだ。それなら僕はあんな常識のない政治家にはなりたくないな」
「何でそう思うの?」
「こんな真昼間からスピーカーで叫んで周囲の迷惑を考えていないからさ。随分前からあの人の近くで赤ん坊が大声で泣いているのに演説を辞めようともしない。目の前の声にすら気付かない者が国民の声を聞こうだなんて傲慢だよ」
「確かにそうね。きっと、あの人は御自身の話す声が大きすぎて御自身の耳の鼓膜が破れたんでしょうね」
公開:21/11/30 11:38

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