テレワークスピーカー

時代はIoT。
インターネットとモノが肩を寄せ合うこの社会では、人と対面することがほとんど無くなった。

「ごめんくださーい」
玄関先から聞こえてくる声は、そこはかとなく張りがない。
「すみません、今出られません」
音声センサーに反応したスピーカーがそう答える。テレワークに集中したい私は、このスピーカーを購入した。
「またきます」
同じトーンで返答したそのヒトは、おとなしく引き返す。
物流・サービス・農業までネットワークで繋がっている無機質な社会で、"足で稼ぐ"風潮を色薄くでも感じられることに、私はどこか安心感を覚える。

外を駆け回っているAIロボットを見るまでは。