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私の誕生日、お婆ちゃんが「とっておきの料理を見せてあげる」と台所に大きな鍋を置いた。
鍋の中に草の根っこやトカゲの干物、それにフラスコに入った薬剤を注いで行く。それは料理というよりもはや儀式だ。
鍋の中から紫色の煙が上がり、あまりのニオイに換気扇を回す。
何を作っているか分からないけど食べたくないなぁ…

夕食後、お婆ちゃんが鍋をテーブルの真ん中に置いた。
「さあ、お待ちかねのメインディッシュだよ」
鍋の蓋をそっと開ける。鍋の中身がカッと光ったと思うと、ウェディングケーキもかくやといった巨大ケーキが現れた。
どうなっているの!?
「この鍋はひねくれ物でな、苦いものを作ろうとすると甘くなり、甘いものを作ろうとすると苦くなる。液状の物を作れば固形の物に。少量は大量になる。作り手である死んだ爺さんそっくりなひねくれ物なんだよ」
ケーキを一口食べてみる。
私に凄く甘かったお爺ちゃんを思い出した。
ファンタジー
公開:21/11/29 20:21

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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