自意識過剰ネクタイ

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ショーケースに入っていたそれは、なんだか異彩を放っていた。私はそのネクタイに一目惚れし、店に入ってショーケースに入っているネクタイを下さいと言って購入したのだった。

営業の仕事をする上でネクタイは、その人の魅力を引き出してくれる。私を一目惚れさせたそのネクタイは、とてもセンスが良くて、誰もが見惚れてしまうだろう。きっとそうに違いない。これは明日からの仕事において、何か良い影響があるだろう。

私は翌日、早速新しいネクタイをした。出勤すると女性事務員の笹田さんが話しかけてくる。

「おはようございます。あら、近藤さん。そのネクタイ、いつもとなんだか違いますね」
「おっ、分かる?さすがは女の子だね。よく気が付くね。これ高かったんだよ。見る目があるね。どう?似合ってる?」
「……え、ええ。似合ってますよ」

彼女のリアクションを見て、私の買ったネクタイは、自意識過剰ネクタイだった事に気づいた。
公開:21/11/29 19:31

富本アキユ( 日本 )

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