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「昔はな、カレーの肉と言ったらカエルの肉を使っとったんじゃ」
祖父の言葉に思わず「うぇ…」と言ってしまう。
「何じゃその嫌そうな反応?お前はナベカエルを食った事がないからそう思うんじゃ」
ナベカエル?
「鍋料理に欠かせないカエルの事だ。今では絶滅危惧種と聞く。昔は鍋をお玉でカンカンと叩き山を歩けば同じようにカンカン、と返ってきたものじゃ。そこにナベカエルはいた」
祖父の言うナベカエル。食べたくはないが見てみたいと思った。

翌日、僕は鍋をお玉で叩きながら山を歩いてみた。
カンカン、と叩けば、カンカンと遠くで音がする。もしかして…
音のする方に進み、茂みの奥を覗いてみる。メタリックシルバーのカエルが「カンカン」と喉を鳴らしていた。
お玉で軽くつついてみる。…固い。
お玉で軽く叩いてみる。…カンカン、と音がした。
どう見ても食べられるものじゃないな。見て満足した僕はナベカエルを山へと戻した。
公開:21/11/27 20:19

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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