無農薬野菜

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農家の畑に忍び込み、適当に野菜を盗んでいく。
昔からそれが当たり前だった。俺は野菜なんて一度も買った事がない。
今日も盗んだ野菜を家に持ち帰るとそれを料理し、食ってやった。捨てられるかもしれん野菜だ。むしろ俺に食われる事に感謝して欲しいものだ。

翌日、俺は酷い腹痛に苦しんだ。原因はあの野菜に違いない…くそぅ…あの農家訴えてやる…
俺は畑に行くと農家の爺に掴みかかった。
「テメェんとこの野菜食ったせいで腹が痛ぇ!慰謝料寄こせ!」
凄む俺に爺は満面の笑みを浮かべる。
「そうかそうか。ウチの無農薬野菜を盗んで食っておったのはお前さんか。ウチの野菜はな、無農薬だからこそ収穫前は虫が多くて、味は美味いが食えたもんじゃない。だから必ず出荷前には”虫落とし”をしている。そうしないと野菜についた虫が食った者を体内から食うのでな」
爺が掴んだ俺の手を指さす。
皮膚の下、もぞもぞと動く虫の姿が俺にも見えた。
ホラー
公開:21/11/26 20:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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