娘と父と風呂事情

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仕事から帰ると荷物が届いていた。
差出人は…父?仕送りはいつも母がしてくれるの珍しい…
中を見ると水の入った小瓶と『温めてから開けるように』と書かれた手紙。
言われた通り小瓶を温め、開けてみる。
…仄かに父のニオイがした。液体の正体に気付き、カッとなる。すぐ父に電話をかけた。
「父さん!意味わかんないんだけど!何でお風呂のお湯を送ってきたの!?」
感情に任せ、烈火の如く激怒する私に父は笑った。
『母さんから、お前が元気ないって聞いてな。…それだけ怒る元気があるなら大丈夫だな。少しはすっきりしたか?』
「…うん」
『そうか。ま…辛いなら、いつでも帰ってきていいからな』
父の言葉はまるでぬるま湯のようだ。長く浸かっていたい…でも、そういうわけにもいかない。
時には自ら熱湯に飛び込む勇気も必要だ。
『愚痴ならいくらでも聞いてやる』
でも、今だけは甘えるとしよう。優しさと包容力に肩まで浸かろう。
公開:21/11/26 20:33
いい風呂の日

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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