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腹が減った…餓鬼道という名の地獄から命からがら逃げだした俺は食い物を求めてさ迷い歩いていた。
何でもいい…食い物を…水をくれ…
だがここは地獄。罪人の俺に誰も救いの手を差し伸べてはくれない…
「あんた?大丈夫か?」
鬼が俺に声をかけてきた。ああ…これで俺は捕まってまた戻される…最悪だ…
「おい!しっかりしろ!水だ!飲め!」
口に当てられるペットボトル。気付いた俺はがむしゃらに水を飲む。
鬼はそんな俺を見て優しく微笑む。ああ…まさに地獄に仏とはこの事だ…
「鍋もあるぞ。食うか?」
鬼は俺に肉を食わせてくれる。美味い…美味すぎる!
「何も泣かなくてもいいじゃないか。ほら、たっぷり食え!残さず食え!」
言われるがまま、俺は鍋を口にした。

「おい!まだ鍋は残っているぞ。全部食え」
鬼は微笑みながら満腹の俺の口に鍋の肉を詰め込む。
「残さず食えよ」
その苦しさに俺はここが地獄である事を思い出した。
ホラー
公開:21/11/23 20:40

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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