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「親分、親分」
「なんだ、熊。言って見ろ」
「泥棒ってなんかドキドキしますね」
「馬鹿、大声で喋る奴があるか。家の者に気付かれるだろ。声を潜めろ」
「すいやせん。以後、気を付けます。ところで親分」
「何だ、熊」
「なんで俺達、こんな事をやっているんですか?」
「おいおい、何度も説明しただろ。悪代官が持っている借用書を奪うためだって。あれのせいで娘を吉原に売っている奴もいるんだ」
「でも、大丈夫なんですか。借用書は鍵付きの金庫の中にあるらしいですよ」
「ああ、知っている。その為にこれを用意して来たんだ」
「異国の聴診器?」
「おっと、噂をすれば金庫発見。お前はしばらく黙ってろ。物音も立てるなよ。小さな鍵音が聞こえなくなるからな」
「でも、親分。さっきから俺達の姿が見回り組の侍にばれていますよ」
「熊、何でそれを早く言わないんだ」
「だって親分がお前は黙ってろって言うから」
「ああ、違いない」
公開:21/11/23 19:05

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