秘密のプレゼント

4
5

今日は秘書室の磯貝麗香と会う。何度も誘ってようやく。終業時間もそこそこに約束の小洒落たカフェバーに急いだ。
時間ちょうどに磯貝麗香は店にきた。
「仕事は大丈夫?秘書室って忙しい?」
「まあね、今日は社長が出張中」
「暇?」
「ええ、社長は愛人と一緒。ところで何?」
「じつは前から貴方のことが好きで、つまりつき合って欲しい」
「無理」
「誰か、すでに?」
「そうじゃなく、わたしロボット由来なのよ」
「・・」
「はっきり言った方がいいと思う。社員の三割はロボット由来よ。あなたは純人間でしょ。秘書室だから知ってるのよ」
その日はコーヒー一杯で別れた。
ぼくはやはり磯貝麗香のことが忘れられない。ロボット由来のアンドロイドだって気にしない。ぼくは彼女を愛しているんだ。また会って告白し直そう。プレゼントも買ったし。ロボット専用の耳殻分解掃除器具、繊細な金属繊維製だ。彼女もきっと気に入ってくれるだろう。
その他
公開:21/11/23 15:39

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容