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我が名は剣十郎。世に聞こえた剣豪である。
私は諸国を漫遊し、剣の腕を磨いている。
だが、困ったことに私に安らぎの時間などない。
今日もまた、私に斬られるために向こうから何者かがやって来た。
「ククク、待っていたぞ。剣十郎」
「誰だ、貴様は?」
「我が名は武蔵。二刀流の武蔵なり」
「武蔵だと。あれっ、もしかして、私の家の隣に住んでいたむーちゃん?」
「私をむ―ちゃんと呼んでいいのは幼なじみの吾平だけだ」
「俺だよ、俺。吾平」
「そんなはずは無い。吾平は海で溺れて死んだと人づてに聞いたぞ」
「それがさ。たまたま同乗した奴と意気投合して服を交換したんだよね」
「それじゃ、本当に吾平なのか。信じられん。会いたかったぞ」
「ああ、俺もだ。それで決闘はどうする?」
「ええい、辞めだ、辞めだ。親友のお前とは戦いたくない」
「そうか、すまんな」

剣豪。その者、情報を制し戦わずして勝つ。すなわち最強なり。
公開:21/11/24 11:51

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