みにくいアヒルの子

　わたしはみにくいアヒルの子みたいだ。
　父、母、兄、妹。
　みんな、わたしを置いて、眠ってしまった。
　最初は父だった。
「変な胸毛が生えてきたんだ。どう思う？」
　首に近いところに黒い毛、それから、胸のところに白い毛、その下はまた黒い毛。まばらに生えている。
「獣化が始まっているんじゃない。シマウマかなあ？」
　父はどんどん毛むくじゃらになっていったが、胸元以外は白い毛が生えなかった。
「ツキノワグマか」
　その後、母はヤマネ、兄はヒグマ、妹はコウモリの特徴が現れた。
　遺伝は関係ないというけど、みんな冬眠する動物だった。
　だから、この冬、家の中で動いているのはわたしだけ。
　ずっと、わたしは人のままかと思っていたら、毛が生えてきた。喜んで調べたら、アライグマだった。冬眠しないクマ。
　わたしは同じように冬眠しない友達とスノーボードに行くことにした。