0
1

チリ~ン。チリ~ン。
鈴の音が鳴った。
「また旦那様がお呼びだわ。きっと長男の春馬さんが来たのね。本当に懲りないわね。毎回、旦那様に「帰れ!!もうお前の顔は見たくない」って罵声を浴びせられていると言うのに」
「きっと今のうちに取り入って置いて他の兄弟よりも遺産を多く貰おうっている魂胆なんじゃないの」
「あり得るわね。この前も長女の冬美さんが来て旦那様にお金をせびっていたもの。「お父様、私、骨董商をやってみようと思うの。それでね。そのお店のお金を少しだけで良いから出して貰いたいの。ほんの些細な金額よ。5千万円なんだけど。ねえ、お願い」って」
「あら、そうなの。私は次男の夏樹さんが旦那様に泣きついているのを見たわよ。何でも旦那様から譲り受けた会社を半年も経たないうちに倒産させたんですって。旦那様も見る目が無いわね」
「あなた達、お喋りもほどほどにしなさい。旦那様に聞こえたらどうするの」
公開:21/11/21 22:06

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容