家族団欒
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「お父さん、パフェなんて頼んで」
「ここのいちごパフェ食べてみたかったんだ」
母と父は楽しそうに一つのパフェをつついている。
「お前にはお子様ランチ頼んでやろう」
父がにやりと笑い、店員を呼ぼうとする。
「いくつだと思ってるんだよ」
二人の動きは止まり、顔を見合わせている。
「三十歳だよ。二人してボケたのかよ」
「お腹を痛めて産んだ我が子の年くらいーーね、いいひといないの?」
急に真顔になって、うろたえる俺の顔をじっと見る。
「こりゃいないわ」
「今はそんな時代じゃないんだよ」
二人はまた小競り合いをしている。
「11月21日、今日は『家族の日』なんだって。僕ら偽家族だけど、団欒っていうの? いいよね」
父と母ははっとして立ち上がり、「帰る」と店を出て行ってしまった。
「お子様ランチです」
レンタル家族をしている彼らにも家があるのだとチキンライスの旗をそっと振った。
「ここのいちごパフェ食べてみたかったんだ」
母と父は楽しそうに一つのパフェをつついている。
「お前にはお子様ランチ頼んでやろう」
父がにやりと笑い、店員を呼ぼうとする。
「いくつだと思ってるんだよ」
二人の動きは止まり、顔を見合わせている。
「三十歳だよ。二人してボケたのかよ」
「お腹を痛めて産んだ我が子の年くらいーーね、いいひといないの?」
急に真顔になって、うろたえる俺の顔をじっと見る。
「こりゃいないわ」
「今はそんな時代じゃないんだよ」
二人はまた小競り合いをしている。
「11月21日、今日は『家族の日』なんだって。僕ら偽家族だけど、団欒っていうの? いいよね」
父と母ははっとして立ち上がり、「帰る」と店を出て行ってしまった。
「お子様ランチです」
レンタル家族をしている彼らにも家があるのだとチキンライスの旗をそっと振った。
その他
公開:21/11/21 16:13
家族の日
団欒
11月21日
射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。
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