彼女の「ありがとう」
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私は彼女の為に治療をしてきたのだろうか。
彼女は子宮頸がんの手術後の再発を繰り返していた。
「もう、先生にお任せします。」
いつもと同じ返事だ。
治療はイタチごっこだ。
別の部位に再発を繰り返すという連続だ。
それでも、彼女は治療を続けた。
週末はご主人、長男、長女が見舞いに来てくれる温かい家族だった。
彼女はいつもニコニコしていた。
2か月後に容体が急変した。
心肺蘇生を開始して間もなく、彼女の口から
「先生、もういいよ。ありがとう・・・。」
彼女がそっと、目を閉じると大粒の涙がこぼれた。
刹那、微笑んでいるように見えた。
目頭が熱くなった私は心臓マッサージをやめられなかった。
ご主人から「先生、もう結構です。」
その言葉に我に返った。
心電図を見ると、心拍は無かった。
彼女は非力な私に何を「ありがとう」だったんだろう。
答えが分からないまま、その言葉は今も私の身体に刺さっている。
彼女は子宮頸がんの手術後の再発を繰り返していた。
「もう、先生にお任せします。」
いつもと同じ返事だ。
治療はイタチごっこだ。
別の部位に再発を繰り返すという連続だ。
それでも、彼女は治療を続けた。
週末はご主人、長男、長女が見舞いに来てくれる温かい家族だった。
彼女はいつもニコニコしていた。
2か月後に容体が急変した。
心肺蘇生を開始して間もなく、彼女の口から
「先生、もういいよ。ありがとう・・・。」
彼女がそっと、目を閉じると大粒の涙がこぼれた。
刹那、微笑んでいるように見えた。
目頭が熱くなった私は心臓マッサージをやめられなかった。
ご主人から「先生、もう結構です。」
その言葉に我に返った。
心電図を見ると、心拍は無かった。
彼女は非力な私に何を「ありがとう」だったんだろう。
答えが分からないまま、その言葉は今も私の身体に刺さっている。
ファンタジー
公開:21/11/21 15:17
産婦人科専門医/指導医
@sanadakuma
tama-himawari3w.com
身体は日々の食事で出来ている。
妊婦さんにも食事の重要性について情報提供しています。
ダイエット中の方々にも食事・睡眠・運動の重要性について情報発信しています。
自身が「愛着障害」であることに気付き、もう一人の自分と上手に共生しています。
自分が、自分の『安全基地』になることが生きていくための拠り所なのかもしれない。
科学的な視点からの表現も交えて、ショートショートストーリーを作っています。
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