きっかけの発明品

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 発明品ができたとの連絡を受けて僕は博士のラボに向かった。
 ラボが見えた時、僕の胸が暴れだした。見覚えのある後姿、ミナを見つけたからだ。
 大きく息を吸い、呼吸を整えてから声をかける。
「ミナも見に来たの?」
 振り向いたミナの顔にぱっと笑顔が広がる。
「ケン君!来ると思ってた」

 ラボでは妙なゴーグルを付けた博士が出迎えた。
「今回のはすごいぞ。透視ができる!」
「きゃっ」
 ミナが声をあげた。
「変な想像をするでない。モノを構成する要素が文字で見えるだけじゃ」
 顎髭を撫で、博士は笑った。
「この水を見てみなさい。水素と酸素という文字が見えるじゃろ」
 なるほど…じゃあ…
「ねえ博士、人を見るとどうなるの?」
「つまらんぞ。心が文字で見えるだけじゃ」
 それって…
「安心せい。二人とも同じ文字で埋まっていたわい」

 思わず顔を見合わせた二人の心に「喜」と「今」の文字が溢れ始めた。
青春
公開:21/11/21 07:22

おおつき太郎

面白い文章が書けるように練習しています。
日々の生活の中で考えたこと、思いついたことを題材にしてあれこれ書いています。


Twitterはじめました。
https://twitter.com/otaro_twi
 

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