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ある晩、一人の女性がやって来た。
「旅の者です。一晩、泊めて下さい」
お爺さんとお婆さんは快く承諾しました。
「おお、外は寒かろう。囲炉裏に当たりなさい」
「ありがとうございます。何かお礼を出来ると良いのですが」
「そんな事を気にしなくていいよ。部屋は奥を使うといい」
「ありがとうございます」
それからしばらくしてお爺さんとお婆さんが寝ようとした時、奥の方からガタン、ガタンと音が聞こえてきました。
「お爺さん、もしかしてさっきの女性は泥棒だったんじゃないですか?」
「まさかそんな事はないだろう。きっと私達のお礼に反物を織っているのだろう」
「お爺さん、そんな夢みたいな事ばかり言っているから何度も女性に騙されるのですよ。私が今までにどれだけお金の事で苦労して来たことか」
「それを言うなら婆さんだって」

「あの~、何かあったのですか。言い争う声が聞こえたのですが」
「いいえ、こっちの話です」
公開:21/11/23 11:08

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