こんなことなら

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アスファルトの上にぶちまけられた潰れたケーキの箱を見て僕は思う。
こんなことならおNEWの靴を履かなければよかった。おかげですっかり靴裏はクリームまみれだ。
待てよ?その前にこんなことならこの道を通らなければよかった。
いつもはあっちの道なのに早くこのケーキを食べたくて悪路であるこの道を選んでしまったんだから。
いや待てよ、そもそもこんなことなら車で来ればよかったんだ。
頑張ってる感を出したいからってわざわざ歩いて来ることはなかったんだ。
いや、待てよ待てよ、そもそもこんなことならダイエットなんて始めなければよかったんじゃないか。
確かに弛んでるけど、ダイエットなんて始めようとするから別に今食べなくてもよかったケーキを無性に食べたくなったんじゃないか。
そうだよ。そうに違いない。食べたいものを食べよう!
僕はそう思うことにして踵を返して焼肉屋に赴いた。こんなことなら始めから行けばよかった。
その他
公開:21/11/23 08:20

セイロンティー( 鹿児島 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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