道のり

私の人生は両親に決められたものだった。それが嫌だと思った事は一度もない。
だって両親は私が進む道を丁寧に糊付けしてくれたんだ。
親が決めた道を子が嫌がる理由の第１位。それは糊付けが下手で、敷かれた道がデコボコになっている事が多いから。
それではダメだ。私の両親は丁寧に平坦な道をしっかり糊付けしてくれた。
そりゃ、道なんだから時々山あり谷ありはするさ。それでもボコボコした道はないから不快感は感じなかった。
それに道が平坦だから景色を見る余裕もあったし、脇道に逸れての休憩も取りやすかった。
居眠り運転や危険運転には注意した。無理をするのもいけないし、スピードを出し過ぎても行けない。私の人生、私のペースで道を進んでいく。
両親のあおりもなく、いい道のりだった。
まあ、唯一問題があるとすれば、糊の使い過ぎで若干べたべたする事かな？
もういい加減子離れして欲しい。だから私は今、剥離剤を手にしている。