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僕のおやつはいつも煎り豆だ。皆それを貧乏臭いなんて言うけど僕は気にしない。
だって煎り豆は母の手作りだ。鍋の中、ジュージューパチパチと鳴る音に僕の涎も止まらない。
煎り豆が出来上がるのを待つ間、母は料理の指導をしてくれる。僕はそれを鍋知識と呼んでいる。
出来た煎り豆を口に放り込む。歯応えがあって凄く美味しい。それに噛めば噛むほど頭が良くなる気がする。豆の中に詰まっている知識が僕のものへと変わっていく。
庭先で煎り豆を食べていると「それなあに?」と女の子に声をかけられたので煎り豆を分けてあげた。
驚いてる驚いてる。ねえ、その豆にはどんな知識が詰まっていた?
女の子は真っ赤な顔でしどろもどろに答える。ドキドキワクワクしながらそれを聞く僕。
この子といると楽しいな。ずっと一緒にいたいな。
豆は知識を与えてくれるが感情は教えてくれない。
恋を知らぬ僕は彼女を引き留める為、今日も豆の入った鍋を振る。
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公開:21/11/22 20:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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