ガラスの小瓶

0
2

七歳まで神のうち、という言葉があります。
私の住む村では七歳までの子供は精霊と遊ぶ事が出来る故、子供を神格化し、大切にする風習があります。
私の場合、何故か大人になった今でも精霊が見える事から現人神と呼ばれ、大切にされています。
私は幼い頃から体が弱く、いつ死んでもおかしくないと言われていました。もしかしたらそのせいかも…とよく考えてしまいます。
「お見舞いに来たよ」と春の精霊は言って、水の入ったガラスの小瓶に種を入れると花を咲かせてくれます。
「びっくりした?」と夏の精霊は聞いてきます。花はいつしか青々とした葉に変わっていました。
「これあげる」と秋の精霊は小瓶の葉先に果実をつけてくれました。
実を収穫し、空になった小瓶に冬の精霊は無言で手をかざします。中の水が凍り、ガラスに負けず劣らず美しい氷の花が咲きました。
今日もガラス瓶の中の輝く四季を楽しみながら、私は精霊達と暮らしています。
ファンタジー
公開:21/11/18 20:28

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容