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「先生…僕は心の病です…思考が毒されています…僕の心の病気を治す薬を下さい…」
私を訪ねてきた患者は涙ながらに話した。
何でも親に自らの心の内を話したところ、それを全面否定され、無理矢理当院へと連れてこられたそうだ。
私は溜息を吐く。目の前の患者は病気でも何でもない。健常者である。
なのにこうして病院へと連れて来られるのは患者が少数意見者であるからだ。
そして患者の親は大多数意見者。”普通はそうだから”や”皆そうだから”を口にしては曖昧さに付け込んで自身の考えを押し付ける。やってられないな…
私は机の中から薬を取り出し、これを親に飲ませるよう言い付けた。バレないよう気をつけてね。

「先生!両親が僕のLGBTを認めてくれました!病気ではないって受け入れてくれました!」
それは良かった。こちらとしてもとっておきの薬を出した甲斐があったよ。
私が出した薬は解毒剤。毒親から毒を抜く薬さ。
公開:21/11/20 20:50

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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