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「鬼さん、こちら、手の鳴る方へ」
「呼んだ?」
「なんだ君は?」
「鬼ですけど、それが何か?」
「君なんか呼んでないよ」
「でも、さっき鬼さんって呼びましたよね」
「それはきっとあなたの聞き間違いですよ。私はお兄さんと言ったんです」
「何だそうだったのか。空耳か。てっきり俺の事かと思ったよ。ガハハハ」
「もう、勘弁して下さい。ビックリしたじゃないですか。おお、神よってね」
「呼んだ?」
「誰だ君は?」
「狼ですがそれが何か?」
「君は呼んでないよ」
「でも、狼よって呼んだだろ」
「嫌だな。あれは女将さんよって言ったんですよ」
「なんだ、勘違いか。もう、俺の事はほっとけよ」
「呼んだ?」
「誰だ、君は?」
「仏ですが何か?」
「もういい加減にしてくれ。何度もやったらぶつぞ」
「呼んだ?」
「もしかして君は?」
「仏像です。ニンニク食ったばかりですが、まだ臭いますか?」
「ああ、臭うぞ~」
公開:21/11/20 13:49
更新:21/11/20 14:05

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