ポイントカード

「いやぁぁぁぁぁおきないのぉぉぉぉ」
「おーーい、靴下どこ？」
「お母さん、体操着今日必要だったー」

じゃんじゃんばりばりじゃんじゃんばりばり。
朝から音の大洪水。
私の頭は破裂寸前。
けれど私は『良い母』、『良い妻』なのです。
ふーーーっと深呼吸して、一つずつ対処していく。
末っ子を起こして、夫に靴下を差し出し、息子に体操着を渡して。
そして私は、小さなカードにポンポンポンとスタンプを押す。



「お前、そのカード何？」

夜、夫に聞かれたので、すっとカードを差し出した。
20個程の枠の中に、赤いスタンプが溜まっている。

「ポイントカード」
「ふーん。どこの？」
「私の」
「ん？」

カードを指で摘んで、ヒラヒラ。

「このスタンプが満タンになったら、私、ここを出て行くから」

そう言ってにっこり笑えば、夫はビールを吹き出し。
私はまたポンと、1つスタンプを押したのだった。