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真っ黒な鍋に水を張り、細かく刻んだ空豆を入れる。
そんな僕を彼女は不思議そうに見つめる。夕食後にこんなものを出されたんじゃ首を傾げたくもなるだろう。
鍋を火にかけ、二人でじっと見つめる。鍋から染み出た黒が水を染め、黒に染まらぬ空豆がきらきら光っているように見える。
僕はその内の一つ、一番大きなきらきら空豆を救いあげた。彼女がハッと息を飲む。
空豆であったそれが指輪へと変わっていた。僕はそれを彼女の左手薬指に嵌めるとプロポーズした。
彼女はOKしてくれたよ。星のように輝く宝石が僕らを祝福してくれる。
さすが、夜鍋の効果は抜群だな。空豆を入れて夜空を演出した甲斐もあった。
そんな幸せいっぱいの空気は突如、鍋から突き出た手によって破られる。
僕はすかさずその手を掴み、引っ張り上げると有無を言わさず手錠をかける。
まさか、警察の僕が追っていたホシまで上がって来るとは思わなかった。
今は空気読めよ…
公開:21/11/16 20:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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