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近所にとても人懐っこいウェルシュ・コーギーのいるカフェがある。放し飼いにされ、短い足で店内をのしのし歩きながら客に愛嬌を振りまく姿を見るたびに「犬は気楽でいいよなぁ」と思う。ある日の週末、そのカフェを訪ねたところ看板犬が見当たらない。店内をうろうろ探していると見知らぬ若い女性に声をかけられた。「あら、かわいい」。
ちょっと待ってくれ、オレはもう四十路過ぎのおじさんだぞ。かわいいだなんて言われても困ってしまう。だが、本能には逆らえない。か細い女性の腕が伸び、自分のふさふさの頭を撫でるとオレは無意識に丸いお尻を左右に振っていた。
驚くべきことにコーギーに成り変わっていたのはオレ自身だった。訪れる客から手当り次第に頭や背中を撫でられ、妙に落ち着かない。中にはちょっかいを出してくる筋の悪い輩もいる。「どうだい、看板犬も楽じゃないだろう」
客が連れていた老犬のパグが目の前でにやりと笑った。
ちょっと待ってくれ、オレはもう四十路過ぎのおじさんだぞ。かわいいだなんて言われても困ってしまう。だが、本能には逆らえない。か細い女性の腕が伸び、自分のふさふさの頭を撫でるとオレは無意識に丸いお尻を左右に振っていた。
驚くべきことにコーギーに成り変わっていたのはオレ自身だった。訪れる客から手当り次第に頭や背中を撫でられ、妙に落ち着かない。中にはちょっかいを出してくる筋の悪い輩もいる。「どうだい、看板犬も楽じゃないだろう」
客が連れていた老犬のパグが目の前でにやりと笑った。
ファンタジー
公開:21/11/16 20:01
更新:21/11/16 20:03
更新:21/11/16 20:03
カフェ
犬
コーギー
2022年から米国在住。
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